2011年11月2日水曜日

「クラウドソーシング」の10のルール

「クラウドソーシング―みんなのパワーが世界を動かす」ジェフ・ハウ、早川書房(原著2008年)

クラウドソーシングの考え方の多くの事例を交えつつ紹介している書籍。最終章の結論部分から、導き出せるという10のルールを抜粋・要約。本文はもっと長い。

現在では、これらの法則は、かなり一般的に知られるようになってきていると思うが、それでも、見直すチェックには向いている。


クラウドソーシングのルール


1 正しい方法を選ぶ
4種のアプローチに分けられ、組み合わせを合わせたものが多く、バリエーションがある。


・集団的知性、あるいは群衆の知恵
集団は個人よりも多くの知識をたくわえているという原則。難しい点は、彼らが知識を表現するための環境を作る事。
・群衆の創造
群衆は想像のエネルギーをたっぷりもっている。
・群衆の投票
群衆の判断力を利用し、大量の情報を整理する。
・群衆の投資
集団的財布を利用し、人びとの大規模な集団が、銀行などの金融機関のかわりに融資をする。


2 正しい群衆を選ぶ
自分の目的に応じ、正しい人びとを選ぶことが肝要。


3 正しい動機を与える
クラウドソーシングを成功させるのにもっとも重要な要素は、共同体が生き生きと、献身的に力を注いでくれることだ。人びとを巻き込むには、まず何よりも、彼らが貢献する動機を理解する必要がある。


4 早まってリストラをしてはいけない
群衆ならばただで仕事をしてくれるのに、同じことをお金を払って社員にさせるのはどうしてか? 理由はたくさんある。
「将来的に、好むと好まざるとにかかわらず、編集者の役割は、独白を伝えることではなく、対話を導くことになるからだ」


5 ものいわぬ群衆、あるいは慈悲深い独裁者の原則
クラウドソーシングの試みが大きな成功を収めた例では、群衆とそれを導く者、すなわちオープン・ソース・ソフトウェア・プロジェクトで「慈悲深い独裁者」と呼ばれる者が、活発にやりとりして作業を進めている。
誰かが決定者の役割をする必要があるのだ。コミュニティにはリーダーが必要なのである。


6 ことを単純にし、小さく分ける
クラウドソーシングの場合、なんらかの価値ある作業を実行するさいには、できるだけ小さい要素に分割することになる。
作業の性質を単純にすることも重要だ。これは群衆が愚鈍だからではなく、多様だからである。


7 スタージョンの法則を忘れない
スタージョンの法則(SF作家、シオドア・スタージョンにちなんでいる)によれば、どんなものも九〇パーセントはカスであるという。私が本書の執筆のために話を聞いた人びとの多くは、それでも少なすぎるぐらいだといっていた。


8 スタージョンの法則を逆手にとって、一〇パーセントの存在を忘れない
クラウドソーシングにほんもののマジックがあるとすれば、それは、群衆がネットワークを質の低い作品であふれさせがちなところを正す、群衆自体の能力にある。
機に応じて民主的な手段をとり、がらくたのなかから最高の、もっともよく輝くダイヤモンドを、群衆に探してもらえばよい。


9 コミュニティはつねに正しい
(慈悲深い独裁者は)絶対的な権限を持たない意識上の存在で、人びとを説得できるだけである。コミュニティを導こうとすることはできても、最終的にコミュニティの判断にしたがうのだ。


10 自分のために群衆に何ができるかではなく、群衆のために自分が何ができるかを問う
クラウドソーシングは、個人あるいは企業が群衆のもっとも欲するものを与えれば、もっともうまくいく。これを別の観点から考えれば、クラウドソーシングを成功させるには、マズローの五段階欲求説でいう最上位、自己実現欲求を満足させることである。人びとが参加の方向へ引きつけられるのは、ならかの心理的、社会的、あるいは感情的な必要を満たされるからだ。必要を満たされなければ、参加しない。

<参考情報>
CROWDSOURCING : Jeff Howe のホームページ 更新そのものは止まっているよう

Jeffによる定義
The White Paper Version: Crowdsourcing is the act of taking a job traditionally performed by a designated agent (usually an employee) and outsourcing it to an undefined, generally large group of people in the form of an open call.

The Soundbyte Version: The application of Open Source principles to fields outside of software.

ムービーによる書籍について自信で紹介するトレイラーがある。
2006年にWiredに発表した記事 The Rise of Crowdsourcing が最初らしい。

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