2011年11月6日日曜日

こいつら本気でスカイネットの登場を止める気だ:「シンギュラリティサミット2011」の公開動画

10月15-16日にニューヨークで開催された Singulatiy Summit の動画が開催されています。シンギュラリティは、技術的特異点と呼ばれるもので、コンピュータと人間とが融合するという時代の到達を予言するものです。この言葉の提唱を始めた発明家であり、未来学者のレイ・カーツワイル(Ray Karzwail)は、コンピュータの速度が2年で2倍になるというムーアの法則が、このまま継続していくようであれば、2045年頃にそうした時代が起きると予測しています。

講演している人は、起業家でベンチャーキャピタリストの、Peter Thiel という人で、このサミットを主催しているSingularity InstituteというNPOに対して、06年に10万ドルの寄付を行っている人物です。Singularity Instituteは、2000年に設立された団体で、AIの専門家と、インターネットのアントレプレナーだった人が始めた団体です。もちろん、カーツワイルの影響は大きく、先進的なAI技術を通じて、シンギュラリティを肯定的に到達するための未来像を探り、加速化させたりするための団体のようです。 

Thiel氏は、講演の中で、テクノロジーの加速化、グローバリゼーションの広がりといったことを議論をしています。シンギュラリティの進行については、未来に対しての悲観的な見方と、楽観的な見方があり、それを楽観的なよう乗り越えて行かなければならないといったことも指摘しています。
 政府といったところにも働きかける必要性ののようなことも論じられているため、こうした考え方を政策へと反映させていこうという実務面での影響力を経済へとどう影響を行使していくべきなのかといったことも議論の対象になっているようです。

このSingularity Instituteは、シンギュラリティのための「Strategic Plan(戦略計画)」というものを発表しており、11年8月にアップデート版を発表しています。 中を読むと、カタストロフ的なリスクを避けなければならないといったことが、大まじめに書かれており、「ターミネイター」に登場する「スカイネット」のような存在の登場を押さえようということを本気で考えているようです。
単純なSF的な冗談であれば大したことなく、日本人の常識的な感覚からいうと、おいおいという初印象がします。
ただ、興味深いのは、投資家がこうした夢物語のような話に、深くコミットしているということでしょう。もちろん、それは新しく正確な未来を先に読み取ることで、的確な投資先を探すといういう目的がアントレプレナーやベンチャーキャピタルにとっては、合致しているからだろうと理解しています。
SF的な話に、実際的な話が乗ってくるところが、アメリカ実用主義的な考え方が通底しており、それを全世界に対して広げることに対して、あまり疑問を持たない彼らの発想がベースになっているように思えます。

公開している講演は4つで、カーツワイルの講演もあり、それぞれ1時間近くあるかなりのボリュームある内容です。どばっと、見るのが大変なので、ちょこちょこ見ながら紹介していきます。

2008年のサミットの様子が、RobotWatchに掲載されていました。日本語で読めるのは、これが唯一かな。 コンピューターが人間を超える日、「シンギュラリティー」は起こるのか 

カーツワイルの講演そのものはTED2009のものが、日本語の字幕付きが公開されています。 彼の議論が、上手くまとまっているものなのでわかりやすいです。約9分


彼は、2005年のTEDでも講演しており、そちらは23分。ただし、日本語字幕なし。
Ray Kurzweil on how technology will transform us

TEDは、アメリカで未来を論じていく場所として、強力になっているように思えます。GDCが一時、VIsion Trackというのを設定したことがあるのですが、TEDの影響があったのだろうと思っています。

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